あたしは今日も生きている
勘違いしてる滝澤舜に
なんだか笑いがこぼれる。
あたしの家はそんな幸せなもんじゃない。
きっと、この人には分かんないんだろう。
この人は、家族から愛情をもらって生きてきた。
大切な人を失った気持ちなんて
わかるはずがない。
「…帰る」
そう思ったらあたしは、足を玄関に進めていた。
あたしがここに長居する理由なんてない。
「は、ちょっ―…待って。」
玄関の前で捕まれた左手。
「…お前、帰れんのか?
………ってお前、
この腕…」
「…ッ」
掴んだ左手の傷に気づいたのか
滝澤舜は大きく目を見開かせている。
「…離してっ!!」
あたしは思いっきり手を振りほどき
勢いよく玄関を飛び出した。