ナツの夏
「さあ、ここだよ!疲れたでしょう」
木造の古い日本家屋。先生の実家は結構大きかった。
皐月がさりげなく私の荷物を持ってくれたが、私は咄嗟にお礼の言葉が出なかった。
「皐月、仕事の合間に悪かったね。ありがとう!夕飯、食べていくでしょう?」
「あー、今日はいい。約束があるんだ」
「ふーん…彼女かぁ!?」
石井ちゃん先生が彼を小突くと、逃げるように車に飛び乗り、皐月は去って行った。
「あ!瑠璃!お帰り〜!」