ナツの夏



「ホント、瑠璃姉もなっちゃんもスゴいわ」




皐月は溜め息を吐くように言った。私はちっともスゴくなんかないのだけど。




「俺なんか17の時、なーんにも考えてなかったよ」




そう言って、最後のおにぎりを頬張った。




「皐月さんは、先生を追いかけて上京しようとは思わなかったんですか?」




少し、不躾な質問だっただろうか。


言ったあとに後悔した。


でも、知りたかった。


皐月の思いを。


< 88 / 105 >

この作品をシェア

pagetop