ナツの夏



私は何の躊躇いもなく、皐月の腕を掴んだ。


この先のことなんて考えていない。


例えば、どうやって行くのかとかどうやって止めるのかとか。


そんなこと、考える余裕なんてなかった。




「なっちゃん!ちょ、ちょっと待ってよ」




皐月はなだめるように言った。


まるで冗談だと思っている。


でも、私は本気だった。


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