ナツの夏
お店側の出入り口まで皐月を引っ張り出したとき、ブロロと車の音が響いた。
「アララ、お早いお帰りだ」
そう言って、皐月が玄関の方に視線をやった。
「…なっちゃんのお見合い阻止作戦失敗」
皐月はいたずらっぽく笑うと、まだ力を抜こうとしない私の手に触れた。
「サンキュな」
その一言で、やり場のない悔しさや恥ずかしさや愛しさが、私の胸いっぱいに拡がった。
皐月が触れている手から、この気持ちが伝わってしまったらどうしよう。
でも、その手を離さないで欲しい。
私が赤ちゃんだった時、優しく握ってくれたように、また…