一番近くに君が居る
警戒心を剥き出しにしてこちらを睨む直哉は、まるで忠実な番犬のようだと翔は思う。飼い主はもちろんココだ。
見る限り、直哉は自分からココを奪っていくかもしれないという不安より、翔がココに何かするのではないかと言う不安の方が大きいようだった。
「ククッ、宣戦布告ってなんだよ。オレはただ様子見てやるぞって言ってるだけだ。こんなに噂になってんなら嫌でも耳に入るだろ?心配じゃないのか?おまえは」
「……」
直哉は思わず固まってしまった。今の翔の言葉と昨日のあのセリフと今日のこの状況とを交互に思い返し、言ってる意味と辻褄を考察する。
「……まさかおまえ、それを昨日のあの時点であのセリフで言ったと、そう言うんじゃねぇだろうな?」
「ん?そうだって言ってんだけど何だ?何か問題か?」
ケロッとした顏で答える翔に、問題大有りだ!と叫びたい気持ちだった。
なんてややこしい言い方をする奴なんだ。あの状況であんな言い方されて、そう受け取る奴が居るだろうか?あぁなるほど。結局また俺はコイツに遊ばれたと。そういうことか。
「はぁぁぁ…」
もう直哉からは大きな溜息しか出てこなかった。