逆らわない
店内をキョロキョロと見回す。

…畠山君は、自分の位置を手を振って教えるなんて事はしない。

わざと私に探させる。

その方が、『はいていない』ままの私が店内を歩き回る羽目になるからだ。

席に座ったままの客の位置から、『はいていない』私がジロジロ見られるのを愉しむ為に…。

本当、意地悪だ…。

やっとの思いで私は畠山君が座っている席を見つけ。

「ごめんなさい、遅くなって…」

抗議の意味も含めた、低い声で言った。

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