青い星と青虫と
阿狼は王宮近辺の監視システムを見ながら5分とたたないうちに白蛇に追いついた。
「予定通りを遥かに飛び越えた接触時間だな。やれやれ・・・」
白蛇の進行方向を防ぎ阿狼は手を広げた。
「頭の上にいる我が妻を返してもらおう。」
白蛇は阿狼の瞳を覗き込むと、人の形へと化身した。
銀の髪に白い肌の青年、赤い瞳が光っている。
「狼から人になった気分はどうだ?」
「それを聞くなら、王様になった気分はどうか?だろ。
自分でも驚くほどの力を持ってしまったな。が正直なところだ。
きっとこのままおまえと戦闘したら、おまえは命を確実に落とすぞ。」
「そうだろうな。だから戦闘はしない!」
「そうか。じゃ、妻を・・・」
「返すわけにはいかない。姫と我が妹を交換する約束になっているからな。
その約束だとて、どうだかわからない状況ではあるがな。
それでも俺は・・・」
「双子の妹が囚われているんだな。
上級魔族のところに行けばいいのか?」
「何をする気だ?」
「もちろん、助け出す。
おまえが私と正式に主従関係を結んでくれれば、妹を助け出す。
ま、さっき王になったばかりだから、おまえにも協力してもらわないとうまくはいかないだろうがね。
さぁ、どうする?」