白い翼と…甘い香り

■でももう、苦しい…■


夢の話が続き、和也が見た
恐い夢とか、変な夢とか

思い出すたびに
覚えてる部分だけを
中途半端に話したりして

ベットの中の2人は
とても幸せだったんだ。

寄り添ってたわいもない事を
話してるときが

1番安らいだ
気持ちになれるね。


「んで、今って何時頃?」

和也は私が枕元に置いた
ペットボトルに手を伸ばし

ゴクゴクと
美味しそうに飲んだ。


電気を消した室内には
うっすらと窓から差し込む
淡い月の光で

ぼんやりと影が
浮かび上がる。

月明かりに陰る和也の顔は
本当にとてもキレイだった。


真夜中だというのは
雰囲気で分かる。

「ちょっと待ってね」

すぐ横に置いたバックの中の
携帯電話で時間を確認する。

「まだ2時過ぎだよ。
そんなに寝てないよね」

寝たのは何時だったか
覚えてないけど
ほんの1時間くらいしか
寝てない気がする。

それでも今の時間が楽しくて
寝てしまうのが勿体ないような
そんな気持ちになるね。


こんな時間がずっと
続けばいいのにと願うけど
携帯の時計を見ながら

メールの着信に
気付いた…


和也は眠そうに
「朝はゆっくり寝ような」
と、言っている。


でも、その言葉は
私の耳を通り過ぎ

少し、心臓がドクンと
鳴り始める気がした。


携帯には、主人からの
メールが届いていた。

時間は、日付の変わる
少し前くらい。

和也と、ベットの中で
じゃれ合ってた頃かも知れない

振動だけのメールには
全く気付かなかった。

和也に
気付かれたくない…

とっさにそう思い
携帯を隠そうとした。


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