白い翼と…甘い香り

■あと6時間■


ずっと2人で
ぼんやりしてた。

時間が
過ぎていく事も忘れていて
何も考えずに座り込んでた。

でも、ずっと
手を繋いでいたんだ。


何時間も、ソファーに座って
寄り添うように

ずっと手だけを
繋いでた。



少し眠くなって
ウトウトしたり

じっと窓から見える
暗闇を見ていたり

何にも話す言葉が無くて
きっと何も考えてなくて

ただ、黙って
じっと手を繋いでたんだ。

その暖かさだけは
本物だったね。




空が少しづつ明るくなって
暗闇からグレーに変わっていく

時間の感覚は無くて
ほんの短い時間…
だったような気がする。


何時間、手を
繋いでいただろう…?

和也は隣で
私の頭にもたれるように
ウトウトと眠っていた。

寝顔の長い長い
マツゲがキレイで

その横顔を
見上げるように見てたら
泣けてきた。

昨晩からずっと我慢して
泣かないように頑張って
涙をこらえてきたのに

あまりにも安らかな
寝顔を見ていると

何故だか涙が
止まらなくなった。

ポロポロとこぼれて
もっと和也の寝顔を
見ていたいのに

滲んで、歪んで…

和也の顔まで泣いてるように
見えてしまう。


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