白い翼と…甘い香り

■旅立ち■


あと少し、何かを喋って
電話を切った。

電話を切る頃には少しだけ
強くなれそうな気がしてた。


紙袋の中で
最初に見つけた物を

握り締めて…


ちゃんとこの恋が
成就するには

どうすればいいか
考えていた。


私が、捨てる物を
決めなきゃいけない。


今すぐには
決められないけど



大事な物は

最初から

決まってた。






右手に握り締めた

小さな宝物。



和也には、大切な物を
貰ってばかり…


朝、6時には
私は和也の部屋から帰った。


それから
大急ぎで車を飛ばして

わざわざ
買ってきてくれたんだね。


どんな荒っぽい運転を
したんだろう…

片道、2時間もかかるのに。



もう
買えないって思って諦めてた

どうしても欲しかった物。


欲しかったけど…

自分の気持ちを抑えて帰った
あの日の切ない夜明けを

和也はきっと
ずっと気にして居たんだね。


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