白い翼と…甘い香り

ねぇ、和也…?

また、夢を見たよ。


私、気が付いたら
羽根が生えていたの。

空を飛んでた
大きな白い鳥が

小さな羽根を
分けてくれたの…

きっと
そうだと思うんだ。



その小さな羽根は
段々と大きな翼になって

私は空を
飛んだんだよ?

大きな白い鳥が
向こう岸でずっと
待ってたから…

だからね
近くへ行きたくて
私、自分で川を越えたんだ。

渡れないと思って
諦めてた深い川を

自分の力で渡ったんだよ。



分けてくれた小さな羽根は
「勇気」って
名前だったかも知れないね。

何があるか知らなかった
向こう岸は、「真実」
という場所だったのかな?

それとも
「幸せ」という
島だったのかも知れないね。






ねぇ、和也…?

この夢を見るのは
今日で、最後かも知れない。

大きな羽根が生えたから
私にはもう必要のない
夢かも知れない。


和也が横にいて
和也の香りが無ければ
見られなかった夢。


どこかでそれを
知っていた。

でも、今日で
きっと最後だね。





向こう岸に何があるか

それは2人で


見つけよう…







〜END〜


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