白い翼と…甘い香り

玄関から
連れ戻されるみたいに

和也は私の腕を引っ張り
ソファーに座らせた。

肩が触れるくらい真横に座り

「何でそんな
我慢してんの?」

って
和也も泣きそうな顔をして
そんな事を聞いた。


簡単に、何でも
喋れる事じゃないのに

さっき
玄関で溶け出した気持ちは
止められなくて

訳が分からないような事ばかり
和也に訴えてた。

和也は
黙ったままで聞きながら

でも
1度も目を反らさなかった。



「リカのこと教えて…

聞くよ?」



そう言った言葉のとおり
黙って優しい顔で
聞いてくれてた。

少しだけ、つっかえてた物が
軽くなる気がする。

誰かが、私の気持ちを
真っ直ぐな目で聞いてくれる


それは
こんなに暖かくて

安心出来るんだね…


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