白い翼と…甘い香り

和也は自分に
必要だと言った。

だけど、そんな風に
言ってくれるのは間違ってる。

和也の方から
寄り添ってくれたけど

ものすごく必要だと
感じたのは私の方で

和也はこんな私じゃなくても
もっと色んな恋ができる。



そう、思うのに…

嬉しくて
涙が出そうになる。


私が、必要なの?


それならば、もっと私は
自分を責めてしまいそう…



「それなら、それなら余計に
こんな私じゃなく
出会いたかった。

何の障害もなく、ただ
好きだって言える自分で
出会いたかった。

だって、私だけ…」


「それで、いいからっ」


後ろめたいような気持ちを
伝えようとする私の言葉を

和也は強い声で遮った。



もう
言わなくていい…

そんな雰囲気で
強く私の言葉を否定した。

私に
「もっと寄り添っていいよ」
と言って

肩を抱き締めていた
腕に力を込め

今度は和也の方から
首を傾けて寄り添って来た。

私の頭に、自分の頭を
コツンと合わせて寄り掛かる。



「普通に…
幸せそうに笑ってるリカなら

俺は多分そのまま
通り過ぎてたかも知れねぇ。

気付かなかったかも
知んねぇよ。

理由は分かんねぇけど
今のリカだから
惹かれた気がする。

それが、必要だって事じゃ
ねぇのかな…」



とても小さな掠れた声で
私と頭をくっつけ合ったまま

和也は
自分の足元を見ているように
視線を落としたままで
そう言った。



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