キミだけをずっと②





「こんなところで何してんの」



顔を上げると、凌が立ち止まっていた



「あ、バイトお疲れ!」



顔を上げて何事もなかったかのように笑ってごまかそうとした


だが凌は私の泣き顔に気付き、思わず声が大きくなる



「何で泣いてんだよ!」


「泣いてなんかないもん…」


「嘘だろ、本当の事言えよ!俺にも言えないことなのか?」



凌は座っていた私の腕を掴む


思わず首を振る私に、掴んでいた腕を外して腰に手を当てる


私に差し出されたのは、水色と紺色のチェックのハンカチ



私はハンカチを受け取ると、涙袋を押さえた



凌には嘘はつけないって思った


何度もこんな風なことあったし…




『私…大樹に振られたの』



凌も意味が分からず「はぁ?」と言う言葉が漏れる



紗貴に同じ話しをすれば、凌と同じ反応をすると思う








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