彼×私×彼女の事情

「広い」


思わず口にしてしまった。
20畳以上ある。


庭から自然光がたくさん入りリビングはキラキラ輝いていた。


すぐ側にオープンキッチンがあり、前にある大きなテーブルがる。お義父さんはそこに座った。


「カバンはそこのソファーにおくといい」

「ありがとうございます」
お義父さんに言われたとおりカバンをソファーにおき、ソファーの前にあったテーブルに白鳥の材料を置いた。


置きながら思い出した。


ケーキ食べっぱなし。


急いで応接室に戻るがタイミングがいいのか悪いのかちょうど片付けが終わったところだった。


「スミマセン……」


「片付ける気あったの?」

そりゃそうなる。

お義母さんは応接室のテーブルを拭きながら背を向けている。顔を向けてくれない。


背中から出るオーラが怖すぎる。


「ちょっと遅すぎましたね……」


私の言葉に合わせるようにお義母さんが振り返った。

「大雑把な性格みたいだし食器を割られたら逆に困るからちょうどよかったわぁ」


「ハハッ、ハハ」


苦笑いしか出来なかった。

今日、何度目の苦笑いだろう。

しかも、隠してるつもりだった大雑把な性格もバレていた。


完全に心が折れた……。


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