彼×私×彼女の事情
平等
私は失恋の翌日からまる2日働き続けた。


職業は調剤薬局で薬剤師をしている。


どこも同じ。


薬剤師不足。


その為私の代わりに働いてくれる人はいない。


この状態を理解してくれる人はもっといない。


結局、やりきれない思いを仕方がないという言葉全て片付けてしまう。


そんな中、やっときたお休み。


私はお気に入りのカフェにやってきた。



「エライ!そんな状態でよく働いた。」



そう言って私を誉めてくれる人。


大学の同級生のサキ。


唯一何でも話せる仲。


健治のことも付き合う前からいろいろ相談していた。健治とも何度もあったことがあり二人の事をよく知っている。


「もっと褒めて。」


私は泣きそうな弱々しい声で言う。


私はあと3ヶ月で32歳になる。


20歳の頃とは違い心の傷なんてすぐに癒えない。時間が癒すほど時間も残っていない。

じゃ心機一転してする?


そんな都合のいい出会は転がっていない。



そんな思いをサキにぶつけた。


私の話を聞きたサキは爆笑した。


彼氏もいて仕事も順調なサキは余裕のある。笑顔がキラキラと輝いて見えた。


「本当に出会いはなくなるね。一昔前はまともな出会いがないって話してたけど今は変な出会いすらないもんね。」


笑いながら話すサキ。


「笑い事じゃなくて……。」


私が散々泣いたことは察してくれている。オレンジティを飲みながら笑い飛ばしてくれる。


「だけど健治君もバカだね。あとで後悔するのに……。あの子思い付いたら猪突猛進てゆうかそく行動に移すから失敗するのよねぇ~。」


サキの話を聞いて思い出した。健治が友人の話を真に受けて株で失敗したことや私にも一目惚れといいあった次の日に告白してきたこと。他にもなんにも考えないで行動することはたくさんある。それなのに今回は計画的な行動だったことを思うと傷つく。


「今度からはもっと早く連絡ちょうだいよ。」

サキは外資系の製薬メーカで働いている。その為、海外出張も多い。仕事が趣味と思えるくらい働いている。

また、サキの実家はお金持ち。周囲からは親のお金で遊んで暮らせるのにとよく言われていた。本人はそれが嫌らしい。『自立して文句を言わせない』っと大学の頃から言っていた。他の子とはちょっと違っていた。そんな部分に私は引かれたのかな?自然と親友になった。



「国際電話は高いもん。しかも追い討ちかけるようにパソコン調子悪くてスカイプも使えなかったし。」


私は冗談ぽく言った。
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