【短編】海に降る雪


 『あ、俺の携帯まだ教室だよね?』

 「うん、たぶん」

 『教壇の下に仕掛けたから、取りに行ってほしい』

 「いいけど、どうして?」

 『いいからいいから。それで保存BOXを見てほしいんだ』

 「うん、わかった。それでどうすればいい?」

 『いや、見てくれればいいから……あ、エーコ、もうお別れみたいだ』

 「え?何?」




 プーッ プーッ




 突然電話は切れた。





 着信履歴を確かめて、かけなおしてみた。




 何度も何度もかけたけど、つながることはなかった。
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