『若恋』榊の恋【完】




ひかるの細い手首を縫い留めて更に大人のキスをすると、必死で応えようとひかるも舌を絡めてくる。


「…ん、ふっ、…っ、」

すべてを受け入れようと必死で応えてくる。


体は更に熱くなる。



「…うぐいすの夜…」


あの夏祭りの夜にうぐいすの宿に行った。
ひかるを一度だけ抱いたあの夜を思い出した。



温もりが重なる。





「―――愛してる」







ドクン

体の中心に熱が集まっていく。



一也のひかるに向けた眼差しが。
一也の命を掛けた熱い想いが胸の中に蘇り、掻きむしりたいほど苦しくなる。

ひかるを助けたのが自分ではなかったことが心のどこかで引っ掛かっていたのかも知れない。





一也に嫉妬。





純粋に想いを寄せる一也に嫉妬。

打算的なものがないだけにぶつけようがない嫉妬。



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