『若恋』榊の恋【完】



真っ直ぐなひかるの瞳が自分を避ける時は、責めている時だ。


「ひかるのせいだと自分を責めているなら、それは間違いですよ。わたしはひかるを守れたと怪我はしても満足しています」

「……満足?」

「わからないですか?」

「………」

ひかるの赤くなった目を覗き込む。


「ひかるに傷ひとつもなかっただけでわたしは満足なんです」

このくらいの怪我なら一週間もすれば痣は薄くなります。



目を背けていたひかるが少しずつこっちを向いてくれる。


「ひかるはわたしにとって命そのものなんです」


ひかるが傷つけば、自分も悲鳴をあげる。
ひかるが泣けば自分も泣ける。
ひかるが笑ってくれていれば、それだけで未来は明るい。


「ひかる、ここは泣くのではなく笑ってください」

「笑う?」

「ええ、このくらいの怪我すぐ良くなるよって笑っててください」



< 412 / 440 >

この作品をシェア

pagetop