『若恋』榊の恋【完】
ひかるの白い指が震えてうまく捲りあげられない。
「榊さんの肩、見せて」
「わたしは平気ですよ」
ひかるは前に撃たれた傷があるのも庇っていることも知っている。
肩を隠しきれないと悟りベットに腰掛け素直にシャツの片方の腕を抜いた。
露になる肩を見てひかるの半泣き顔が、みるみる崩れて歪んだ。
「榊原も容赦ない男だったので折れないのが不思議なくらいでした」
ひかるの目からボロボロと大粒の涙が零れる。
くちびるをぎゅっと噛んで抜いた腕を見ていた。
肩は広範囲で土色に変わって腫れ上がっている。
自分で見なくてもわかった。
酷い打撲と言えればよかったが動かせないほど痺れていた。
「湿布……」
持ってこなくちゃ。
声にならないひかるが顔を背けて立ち上がるのをその腕を引いて引き留める。
「ひかるのせいではないですからね」