死神のお嫁様
落した羽衣
私は普通の女の子、日常生活も学業も友達付き合いも恋愛も普通。

あ・・・恋愛はあんまりうまくいってないよ。

私の好きな人、まぁ片思いなんだけどね、その人彼女出来ちゃったの。

つまり・・・私は失恋ってこと。笑えちゃうよ。

そんな感じで今日も学校。そろそろ行かなきゃ遅刻しちゃう。

今日はいつもより家を出るのが遅くなっちゃったし・・・。

「行ってきます、パパ。ママ。」

私の両親は私が幼稚園の頃に他界した。

物語ではありがちよね。普通に。

ガチャ

急いでるからいつもより景色が違って見える。

お隣さんの家の豪華な芝生も突き当りにあるボロの空家も・・・。全部。

・・・全部?

ちょっとまって、全部?

キィッッ!

ブレーキの音がすごく響いてる。いつもは雑音でかき消されるのに・・・

「ここ・・・どこよ。」

あたりには煉瓦造りの洋館ばかりが立ち並んでいる。とても鮮やかだ。

それに、人が一人もいない。真昼なのに・・・。

「あれ?なんで昼なのに街頭がついてるんだろう・・・」

そう・・・昼なのに明るいオレンジ色の綺麗な明かりが光っている。

それに、空では太陽のように明るい星がキラキラしている。

「・・・不思議な所・・・。私、なんでこんなところにいるのかな?」

夢を見ているような不思議な気持ちになれる場所。

何故だかまったく恐怖心がわかない。

「お前はいつぞやに見た・・・・・。」

そこに見知らぬ男の人がなんだか旧友にあったような雰囲気で私に話しかけてきた。

「え?・・・誰ですか?」

「フッ・・・やはり覚えていないか。あのころはまだ人間の姿だったしな。」

「人間の姿?・・・あなたは人間じゃないの?」

この人はとても不思議な人。まるで人間じゃないみたい。

「知りたいか?」

ドキッとしちゃった。いきなりそんなこと聞かれたら・・・。

「・・・知りたい。です。」

なんだか未知の世界に入り込んだ・・・つまり、アリスみたい。今の私。

だってとっても普通じゃないんだもの。空はキラキラだし、昼なのに街頭ついてるし、それに・・・

この男の人、だんだん姿が変わってきてるの。

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