ひとひらの恋*+’
今日が入学式らしく、新しい制服に身を包んだ中学生達が、少し緊張した面持ちで歩いている。
そっか・・・
今日は入学式なんだ・・・
懐かしいな・・・
急に昔が懐かしくなって、通勤バッグにぶら下がっている小さな鈴に視線を落とした。
「芽依」
不意に名前を呼ばれあたしは振り返る。
公園の入り口で、穏やかに微笑んでる彼を見つけると、あたしは慌て駆け寄った。
彼と並んで歩きながら
あたしは桜の木を振り返った。
桜の雨が
その下に静かに佇んでる
古びた日時計を
綺麗に飾っていた――・・・
思い出すなぁ・・・
たしかあれはあたしが
13歳の頃だ・・・
まるで映画のワンシーンのように、あたしの想いはフェードアウトしていく・・・