吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)


「お調子者ね」


女がひっそりと微笑して言った。


「普段はお調子者とぼくは呼ばれてるの?」


お調子者の意味がわからず、イオタは素直に訊いてみる。


「えっ、あぁ~そうよ。よくわかったわね」


と言ったあとで女は後ろを向き、腹を抱えた。


なぜ笑ったのか、という疑問は図書館のような部屋ですぐに辞書を引き、『お調子者』を調べて判明した。


お調子者……いい加減な人。


軽はずみな行動をする人。


浮薄な人。

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