吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
タイトルから比較的噛み砕いてわかりやすく説明してくれているのかと思いきや、中身は原子記号や化学式の羅列で文章が埋め尽くされていた。
科学の基礎知識がないと読むのが難しい本で、即効性のある睡魔に襲われていつの間にか眠ってしまった。
文字や文章からだと筆者の気持ちは伝ってくるが、数字や記号には感情がなく、何も伝わってこない。
「その本は面白かった?」
「う、うん……ちょっと難しかった」
作り笑顔で面白かったと答えようとしたが、正直に言うべき、という意思で処理する。