吸血鬼は淫らな舞台を見る episode ι (エピソード・イオタ)
美しかった歯並びが乱れ、歯列から八重歯が飛び出し、さらに歯茎から伸びて獣のような乱杭歯へと成長していく。
あまりにも現実離れした光景に、現実味のある恐怖だと脳ミソが処理してくれない。
防衛本能が遅れ、苦もなくイオタの首の皮を貫いた女の乱杭歯からポタリ、ポタリと熱い液体が落ちていく。
ズズズッとマナー度外視の音を立て、頚動脈から吸い付いて離れない。
淫らな行為をやめさせようと両手で女の顔を掴み、突き放そうとしても、すぐに脱力し、ダラリと両腕を垂らしてしまう。
与えたダメージは爪で引っ掻いた傷くらい。