炭坑の子供たち(1)
 夜更けのそこは、発明品や作品、己の主張を発表する場でもあった。

わざわざ大きな紙に、日本の地図を書いてきて、天気予報を始める者

自作の油絵や墨絵を披露する者

懸命にこしらえた竹細工を、自慢気に見せる者などで

子供はと言うと

必死でこしらえた、ゴム銃や弓を見せ合ったり

ある子などは

束ねた3本のヒモの先に、ゴムで出来たオモリを付けていて

それを振り回して投げると、獲物の足に絡んで

獲物がその場に倒れると言う、アフリカの原住民が使う狩猟の道具らしい。

それを、脱衣場との境にある柱に巻きつけて見せると

思い切り振り回して、手を離した瞬間

丁度いかついおやじが入って来て、あっと言う間に、おやじの顔に巻き付いてしまった。

当然そいつは、おやじに首根っこをつかまれて

湯船に投げ込まれたのは、言うまでもない。



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