Reminiscence
「最後の約束ね。フェン、私の妹になる気はある?」
「ミカゲさんの?」
驚いたようにフェンは聞き返した。
「そう。ダンテとの、最後の約束。ダンテは頼みごとだと言ってはばからなかったけど」
「ミカゲさんが私の姉になることを師匠は頼んだんですか?」
「いいえ。ただ、それが一番だと思っただけよ」
ミカゲはそう言って微笑んだ。
そう。断れるわけがないのだ。
一番近い人で、別れるのが一番つらい人。
お互い最後にだけ口にした感情。
愛しい人との約束を反故にすることなんてできない。
それに、愛した人が大事にしてきた少女を放っておくことができないくらい、ミカゲはフェンのことを好きになってもいた。
本当に……ずるい人。
それでもミカゲはどこか幸せそうに微笑んだ。
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