お姫様と美しき百合
「お母様にただいま言わなくちゃ。泣いてたらお母様が天国で安心できないし飛鳥達にも心配かけちゃう」

涙を拭うと笑顔を作り、お母様の写真の前で手を合わせる。

「ただいま帰りました、お母様。今日も学校楽しかったわ」

楽しかったのは嘘じゃないけど・・・・小笠原様の事、友達に言われたことが頭の中をループする。


「楽しかったのかな・・・・お母様、私友達に嘘ついちゃった・・・・小笠原様にありがとうって言えなかった・・・・ひっくひっく声すらかけられなかった・・・・ひく好きでいない方が良いの?、私どうすれば良いのかな?ひくひくっお母様?ねぇっ!何か答えてよぉお!、聞こえてるんでしょう!ねぇってばぁ!!何で私を置いて天国にいっちゃったのよっ!!ひくっ、嫌よ!。うわぁぁああん!!」

バリンッ、ガッシャーン!!。

大きな音を立てて壊れてく。

涙で濡れていくお母様の写真。

お母様が無くなったあの日から、皆に心配かけないようにと毎日毎日笑顔で過ごしてきた。

でも、限界。

心がぐちゃぐちゃになっていく。
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