担任は優しい旦那様
「そうですか、
自分の気持ちを
伝えられてよかったです」

彼が行った後で
金縛りから解けた様に
私たちは動き出した。

「恋、カッコイイ」

興奮した様に
琴羽が言い、
左京先生が
手をギュッと握った。

廊下に居た人数が
少なかったことと
私たち以外
すぐ教室に
入ったことが
幸いして誰も
見ていなかった。

とりあえず、
一難去ったわけで
よかったよかった。

『皆、今日
家に来ない?』

でも、この告白を
断ったことで
後々大変なことが
起きることを
誰が予想出来ただろう……

何となく、
集まりたくなった。

左京先生を含め、
全員分の了承を得て
私たちは教室へ
授業がない先生は
職員室へ向かった。

集合時間は
午後七時頃にした。

結局、
流れで皆
泊まることになるけど
今の私は知らない。

そんなことがあった
一週間後、
夏休みに入った。

現役教師が
二人も居るとなれば
当然、遊ぶ前に
宿題をやらされる。

家のリビングで
珍しく眼鏡をかけた
マー君と左京先生が
テストの時みたいに
監視している。

テスト時と違うのは
何でも聞けることくらい。

そのお陰か
分からないけど、
結果的に宿題が
三日で終わった。

持つべきは、
年上の彼氏ってね。

そして、二人共
成人してるから
行きたい所があると
必ず車を出してくれる。

今回も、
皆で旅行に
行く計画を立ててたら
二人が連れてって
くれることになった。

どっちにしろ、
この辺に遊びに
行く様な所はないから
一石二鳥だ。

場所はまだ決めてない。

旅行誌を何冊か
見ながら皆で考える。

結果、
三泊四日で京都に
行くことになった。

旅費は理香の
お父さんが
全員分出してくれた。

『理香、ありがとう
でも、よかったの?』

「いいのよ、
お父さん忙しくて
私に構えないからって
今回の旅費を
出すって言ったんだもん」

今度、マー君と一緒に
お礼しなきゃだね。

荷造りを
終えた私たちは
マー君と左京先生が
運転する二台の車で
行くことになった。
< 42 / 100 >

この作品をシェア

pagetop