担任は優しい旦那様
泣きそうなのを
耐えながら話しを続ける。

『泣きたい時は
我慢しないでいいんだよ』

理香の隣に行き、
抱きしめた。

『お茶、
いれなおすな』

マー君が私たちの
カップと急須を持って
キッチンに行った。

『二人が喧嘩してる所
初めて見たの?』

理香は小さく頷いた。

それはショックだよね。

きっと、理香の
知らない所で
二人は前々から喧嘩
していたのかも知れない。

「ありがとう」

三十分後、
泣き止んで
落ち着いた理香が
最初に言った言葉は
それだった。

『どういたしまして』

マー君が
いれなおしてくれた
お茶もすっかり
冷めてしまったので
今度は私が
いれなおした。

『理香、今日
泊まって行きなよ』

今の状況で
家に帰っても
辛いだけだと思う。

「いいの?」

遠慮がちに聴く理香に
「当たり前でしょ」と
言って手を握った。

さて、夕飯は
何にするかな?

『理香、
何が食べたい?』

沢山泣いたから
きっと
お腹空いてるだろう。

「え?え?いいよ……」

言うと思った。

『遠慮すんな』

私が言うより先に
マー君に言われてしまった。

『そうだよ、遠慮はなし』

まぁ、大抵は
同じ考えだから
いいんだけどね。

「じゃぁ、シチューがいい」

これはまた、
安上がりだね……

『そんな
簡単な物でいいの?』

聞き返すと
黙って頷いた。

理香がいいなら
別にいいんだけどね。

最近、寒くなったし
温かい物を作ろうとは
思ってたけど
ちょっと意外かも。

『入れて欲しい
具とかある?』

今日のは、
理香のために
作るんだから
本人の意見を
きちんと聞かなきゃね。

「鶏肉のお団子と白菜」

さっきので遠慮が
なくなった
みたいでよかった。

『了解』

えっと、
鶏肉あったかな?

冷凍庫を探る。

おっ、
あったあった。

今から出せば、
解凍されるよね……?
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