お金と私と彼と
「…幼なじみ…この人の…」
美麓は杏南を凝視する。
「そうよー」
杏南は美麓の髪の毛を弄る。
「にしても綺麗な子ねぇ…事務所はどこ?」
美麓は杏南の顔を勢い良く見る。
「事務所っ??!!なにそれ…」
杏南は不意を突かれたような顔をする。
「えっ??!どっかの事務所のモデルじゃないの?」
「なわけないじゃないですか!!」
美麓は慌てて全否定をする。
スカウトをされるが財政難なために事務所にも入れないし、親の承諾もない。
「大和くん…この子一体どこで見付けてきたのよ!
この子最高よ!」
杏南は美麓の頭を撫でる。
「だろ!!」
大和は自慢気にいう。
「藍さーん!準備出来ましたよ!!」
吹き抜けの二階から渋めの男が藍に話し掛ける。
「春川。二階に上がって杏南にメイクしてもらえ。
プロが撮ってくれるから」
藍は立ち上がって美麓に言った。
「カメラマンの
風間爽です。
良いモデルだね。」
爽と名乗った人は愛嬌のある笑顔で手招きをした。
「美麓ちゃんあの螺旋階段登ったら二階につくわ。
ちゃんとワンピースの裾を上げて上ってね」
杏南は笑顔で美麓にそう言った。