【短編】虹の端っこの、キミ。




「なによ。そんな怒らなくたっていいじゃない」


「別に怒ってねぇよ」


「えー。絶対怒って……」




ふと。


言葉を途中で止めると、日和の手が俺に伸びてきた。


は!?


固まる俺をよそに、日和の手が俺の髪に触れる。


細い指が肌に触れ、ドキッと心臓が跳ねた。




「―――はい。取れたよ、ホコリ」




そう言って指でつまんだものを、フッと飛ばした。


その横顔をぼんやりと見ながら、俺は目を細めた。




……いつからだ?


コイツをただの幼なじみとして見れなくなったのは。



『陽ちゃん』



俺の名を呼ぶ、コイツの笑顔が愛おしいと思うようになったのは。


コイツを……俺だけのものにしたいと願うようになったのは。
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