【更新停止中】家政夫くんの攻略法



心の中でベーっとあっかんべえでもしておく。



わたしのことを抱きしめといて、ドキドキしてるのはわたしだけだなんて許せないよ。



すると右京くんは、ひらりと手を差し出した。


意味がわからず小首を傾げる。



「カバン。持つよ」


「わっ...」



そう言うと、グイッとわたしのカバンの持ち手をつかむ。


そのままカバンは彼の元へ渡る。



「軽いな。教科書入ってんのか?」


「失礼な! 入ってるよ!」



憎まれ口を叩きながらも彼は先へと歩く。


そりゃあ...何冊かは置いてきたけど。


そんなこと言ったらまたなんか言われちゃう。



何も言わずに彼の隣を歩く。


そっと見上げても、彼は気にせず黙々と歩いてる。



わたしが利き手火傷しちゃったから、持ってくれたんだよね。

ありがとう。


ほんの少しだけ、胸があったかくなる。


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