月下の踊り子
人を殺したい。
生まれて初めてそう思った。
この目の前にいる人間と同じ空気を一秒たりとも吸いたくない。
怒りに身を任せ、胸倉を掴む力が一層強まる。
名分なんてものを考えず、この男を腰に掛けてある拳銃で撃ち殺す。
それが出来ればどれだけ楽だろう。
「お、俺はただ規則を破った囚人に当然の罰を――ぐっ!!!」
鳩尾を本気で殴る。
痛みで前屈みなった看守に横から蹴りを一発。
頭部を庇おうとした手の上から更に拳を一発。
容赦のない打撃が宮沢に加える。