月下の踊り子
再び書類に目を移す。
だが、どうしても妙にソワソワして仕事が巧く進まない。
ペンの後ろで額をさし、邪念を振り払うかのように首を二、三回振る。
(子供か私は……)
不安定過ぎる自分を呪う。
あまりの醜態だ。
昔ならこんな自分を許さなかっただろう。
いや、今でも許す気はないが。
「なぁなぁなぁなぁ羽鳥」
「――何だよ?」
「ジャンケンしようぜ」
「一人でやってろ」
「はい」
本当に一人でジャンケンを始める山口。
明らかに背中が「早く突っ込めよ!」と叫んでいるが敢えてそれを無視する。