『仰せのままに、お嬢様』《完》
「だからそうじゃなくて、
あたしは遼人さんと縁談
なんて、考えられないのよ」


今日は伯母様はいない。
だから前回よりハッキリと
伝えた。

ところがパパはうんうんと
頷いて、


「戸惑う気持ちはわかる。

だがそれも、おいおい
薄れていくだろう」


と、勝手にわかったふうな
ことを言う。

遼人さんもそれに便乗して、


「そうだよリリカちゃん。

行こう! 俺はリリカ
ちゃんと行きたい所が
山のようにあるんだ!」


「――あ、あたしは行きたい
所なんて無――…!」


反論しかけたけど、途中で
声を飲み込んだ。


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