『仰せのままに、お嬢様』《完》
フレッジオさんがドアを
開けてくれた先――広い
部屋の大きなベッドの上に、
シーツをきちんとかけられて、
楓が横たわっていた。


「楓っ―――!!」


やっと会えた。


でも眠っていると言われても、
自分の目で見なきゃ安心
できない。


あたしはベッドに乗りかかる
ように迫り、動かない楓の
頬に触れる。

顔もグッと近づけて、その
頬に赤みがさしてること、
呼吸をしてることを確かめた。


「楓っ………!」


―――よかった。ちゃんと
息をしてる。たしかに、
ただ寝ているだけのように
見えた。


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