『仰せのままに、お嬢様』《完》
もう何分経った? けっこうな
時間、話し込んでたはず。


「楓、だめだよ。
幹生君が……!」


あたふたと言いながら、
あたしは離れようと楓の
腕の中でもぞもぞと動いた。


ところが楓はそれを阻止する
ように、さらに両腕に力を
込める。


そして、どこか楽しんで
いるような囁き声で、
あたしの耳元でこう言った。


「お忘れですか、リリカ様?

あの方の時計は、時々
遅れるのですよ」





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