『仰せのままに、お嬢様』《完》
「香奈枝っ」


(茶化さないでよぉ~。

もぉっ、余計に恥ずかしい
じゃない……!)


頬に手を当ててるあたしに
軽くニコッと笑ってから、
楓さんは前を向く。

信号が青になって、車は
また音もなく動き始めた。


『いいなー、羨ましい~』と
一人で喋ってる香奈枝の
横で、あたしはうるさい
心臓の音を沈めるのに必死
だった……。





     ☆☆☆☆☆


_
< 79 / 364 >

この作品をシェア

pagetop