狼様の愛のカタチ理論
第5章

涙と雨











――――……



その日を境に、私は毎日のように夜を扇李と過ごしていった


なにか、特別なことをするわけじゃない


ただ本当に、夜になれば扇李が自然と迎えに来てくれて、そのままベッドで…朝まで眠る


そんな毎日が数日続いていたある日













「今日は…天気悪いね」


昼食を食べ終わり椅子に座りながら、私は空を眺めていた


「もうじき雨が降りそうですね」

「…ぅん」


左汰の言う通り、天界の空は黒く今にも雨が降りそうだ


天界に来てから、こんなに空が黒いのは初めてで私は空から目をはなせない


てか、雨が降るなんて事事態が初めてで、いつふるんだろう…そんなワクワクした気持ち


「おい、雨が降ると気温が一気に下がるんだ、なんか上に羽織っておけよ」


右汰はそう言うと、クローゼットから灰色で少し大きめのカーディガンを取り出し


私の背中にそれを掛けて彼もまた私の隣に座り空を見る



< 321 / 550 >

この作品をシェア

pagetop