狼様の愛のカタチ理論
その理由は簡単
私はたたさっき、扇李に花嫁になるって約束したからだ
"太陽が昇る前に迎えにいく"、と…
「……………」
時計をみると時刻は10時を過ぎている。あと、数時間だけしかない時間。寝てしまうなんて勿体ない
最後に、最後にみんなの顔をきちんと覚えていたい…そう思い、乱れた布団をかけ直しながら一人一人の顔をみて…私はそっとある場所に向かった
ガチャとある部屋のドアをあけ、電気も付けないまま私は電話に手を伸ばした
そう、最後に私は院長様の声が聞きたかった
私の第2の母でもある院長様の、優しい声を…
「…院長様」
震える指を押さえながら受話器を耳にあて、ゆっくりとボタンを押していく
ピ、ピ、ピ―…プルルルルル、プルルルルル
規則正しい機械音が頭に響いてくる
こんな遅い時間に電話なんて、非常識なのかもしれない
しかも、院長様は娘さんのために病院にいる
出ない確率が明らかに高いけど、どうしても…どうしても…声が聞きたい。
お願い…出て!
そう思った矢先、10回目のコールと同時に院長様の声が聞こえた
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