狼様の愛のカタチ理論



突然来た人物に意味が分からなくて、頭をあげてチラリとサイさんを見るとニコリと微笑む



「扇李の命(めい)により、花嫁の沙優様を迎えに参りました」


「………あ」


さ、沙優様って…


あ、もしかして、この人は扇李に頼まれて私を迎えに来た人なんだ…


なんだ、扇李が来るんじゃないんだ…いや、むしろ扇李じゃなくて良かったのかもしれない


「そうですか。ありがとうございます」


そう言い頭を下げると、サイさんは少し驚いたような顔をする


「え?」


な、なんでそんな顔をするの?


「あ、いえ。すみません…なんでもありません。それより、沙優様?お荷物をお持ちします」


「へ?いや、そんなこと」

いくらなんでも、初めてあった人に荷物なんて持たせられない


「これくらい、大丈夫ですから」

「いえ、ダメです。さぁ荷物をこちらに」


うっ…優しい言い方なのに重くのし掛かる言葉に私はしぶしぶサイさんに荷物を渡した



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