狼様の愛のカタチ理論
「沙優様、いけません」
「…えっ?」
「沙優様は40年間この世界にいなかったんです。姿も変わっていません…もし今ここで、沙優様だと認めたら大変です!」
「……あ」
そ、そっか…私は40年間いなかったんだ
もし、私が名前を呼んで近よったら…弥生おばさんからしたら、歳を取ってない私にびっくりしてしまう…
「……」
思わず黙り込むわたしに、弥生おばさんは首を傾げて…
「沙優ちゃんよね?ね?そうでしょ?」
「…っ」
変わらない、優しい声で言われて…込み上げる感情をグッと押し込み
私は弥生おばさんをみる
「いえ…違います…」
「え…そうなの?」
数歩近寄り、私の顔をじーとみつめて…
「いいえ、沙優ちゃんだわ…目が同じだもの…優しくて強い瞳をしてるもの」
「……っ」
「沙優ちゃんよね?あなたが突然いなくなって…みんながどれだけ心配したか…」
目に沢山の涙を浮かべながら、私の手を擦る弥生さんに…胸が痛くなって
反射的にサイさんを見ると、サイさんは私の肩にそっと手を回して来た
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