狼様の愛のカタチ理論





「沙優様、いけません」

「…えっ?」

「沙優様は40年間この世界にいなかったんです。姿も変わっていません…もし今ここで、沙優様だと認めたら大変です!」


「……あ」

そ、そっか…私は40年間いなかったんだ


もし、私が名前を呼んで近よったら…弥生おばさんからしたら、歳を取ってない私にびっくりしてしまう…


「……」


思わず黙り込むわたしに、弥生おばさんは首を傾げて…


「沙優ちゃんよね?ね?そうでしょ?」


「…っ」


変わらない、優しい声で言われて…込み上げる感情をグッと押し込み


私は弥生おばさんをみる


「いえ…違います…」

「え…そうなの?」


数歩近寄り、私の顔をじーとみつめて…

「いいえ、沙優ちゃんだわ…目が同じだもの…優しくて強い瞳をしてるもの」


「……っ」


「沙優ちゃんよね?あなたが突然いなくなって…みんながどれだけ心配したか…」


目に沢山の涙を浮かべながら、私の手を擦る弥生さんに…胸が痛くなって

反射的にサイさんを見ると、サイさんは私の肩にそっと手を回して来た



< 506 / 550 >

この作品をシェア

pagetop