狼様の愛のカタチ理論





そんな…こんな事ってありなの?


人間界なら結婚詐欺で訴えたいけど、ここにはそんなルールも言葉もないだろう…


思えば、こんな良い人を私の迎えなんかに使ったり、"俺の国"なんて言ったり、トラを威厳だけで追い払ったのも王だから出来た事だったんだ



「…はぁっ」


無意識に出てしまったため息に、サイさんは相変わらず苦笑い


「では…その、天界についての説明はある程度終わりましたので…そろそろ宮殿に参りましょう」


「……?」


「扇李が宮殿でお待ちですから」


「………」


あぁ…もう、逃げ道はないんだ。王であろうと覚悟しなくちゃ


「分かりました…」


サイさんにそう言い、歩き出すと苦笑いをしていた顔が笑顔になり紫の瞳が私をみつめる


「ありがとうございます。沙優様のような花嫁に来て頂いて私はとても嬉しいです」


「そ、それは、言い過ぎですよ」


「いえ、そんなことはありません。あ、そこ段差があるので気をつけて下さい」


私の手を持ち、段差で転ばないように手を貸してくれる



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