放課後は、秘密の時間…
第十五章 傷心
――うぅ……緊張する……


教室の後ろに立ってる先生方の視線が、体中にちくちくささってる。



ついに、実習最終日。


今、あたしは研究授業の真っ最中だ。

研究授業って言うのは、実習生にとって今までの実習の成果を問われる、大切な授業のこと。

沢山の先生方が、見に来るんだ。


いつも通りにやれば大丈夫、なんて思ってたけど、緊張に弱いあたしは、さっきから失敗ばっかしてる。



「先生、緊張しずぎでーす!」


生徒にも言われるなんて、あたし、情けない……

あぁ……高田先生まで爆笑してるし。


「静かにっ!ちゃんと、絵、描いて下さい」


声をかけながら教室を見回して、ふいに彼と目があった。


――市川君……


心臓が勝手にドキドキしちゃう。


あれ……何か、言ってる?


パクパク動いてる市川君の口元に注意して、見てみると、


『ガ・ン・バ・レ』


そう言って、ニッコリと笑った。

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