放課後は、秘密の時間…
第十七章 決意
失恋がこんなに辛いものだったなんて、知らなかった。


心が二つに引き裂かれたみたいな痛みが、胸の奥にずっとある。

どんなに泣いても、溢れてくる涙。


『行くな』


そんな彼の言葉が、ずっと耳から離れない。


いつか、あたしにも……

市川君のことを、思い出にできる日が来るの?



「――あかり、降りよう」


幾つ目かの駅に着いた頃、大也があたしにそう言った。


あれから、どれくらい時間が経ったんだろう?

ずっと泣き続けていたあたしには、今が何時かもわからない。


車内で市川君のことを思い出して、何度も涙を流したあたしに、大也は何も言わなかった。

ただ、優しく抱きしめて、手をずっと繋いでいてくれただけ。


それだけでも、十分救われていた。

今、あたしがこうしていられるのは、きっと大也がいてくれるからだ。


「もうすぐ着くから。あかり、こっち」


来たこともないような小さな駅に降りて、改札を出た大也はゆっくりと歩き出した。

その背中を、あたしもただ追いかける。


10分ほど歩いて、あたし達が着いた先は――……

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