放課後は、秘密の時間…
二宮あかり、20歳。

大学3年生で、教育学部・美術科専攻。


現役大学生のあたしが、どうして高校の教室にいて、しかも「先生」って呼ばれているのかというと。

実は今、教育実習の真っ最中だったりするんだ。


あたしの小さい頃からの夢は、美術教師になること。

その夢を叶えるためには、この教育実習ってものが、どうしても避けては通れない。



――そんなわけで。

実習をさせてもらうために、この総和東高校に先生として来てるんだけど。


つい最近まで普通の大学生だったあたしが、いきなり「先生」なんて言われたって、慣れるはずもない。

「先生」って呼びかけられても、ついつい自分のことじゃないと思っちゃう。


こんな調子で、この先の実習生活、大丈夫なのかなぁ?

なんて、本気で不安に思う今日この頃……


だけど、教育実習の期間はたったの5週間。

弱音なんか吐いていられない。


一見、すごく長そうに聞こえるかもしれないけど、実習を終えた先輩達の話によると、

「実習なんか、終わるの超早いよ。夏休みみたいなものかな」

とのこと。


長く感じるのは慣れない初めの一週間だけで、二週間目からはあっという間に過ぎていくものらしい。

そんな限られた時間の中で、勉強しなくちゃいけないことはたくさんあるんだ。


もう、今日で実習3日目だし……

一日一日を大切にしなきゃ。

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