思い出はあなたの中に
第3章
約束どおりオレ達は海にきた。

暑くなってきたとはいえ潮風には冷たさが残っている。

しかしヒトミは楽しそうだった。

「信治くん見て!蟹がいるよ!」

気持ちが通じあって以来ヒトミはオレを名前で呼ぶようになった。

「楽しいね。信治くん。ほんとにありがとう。一緒に来てくれて」

「なんか大袈裟だな。海なんてまたいつでも来れるだろ?」

「うん。そうだね。私好きな人との初デートは海って決めてたの。信治くんと一緒に来れて良かった」

頬を赤く染めながらヒトミは言った。

風に髪がなびいている。

さらさらと風に踊るそれは天女の羽衣のようだった。

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