たった一人の親友へ〜another story〜
理性とは裏腹に涙まで出てて


どんだけ情けねぇんだよ、俺なんて


考えてる暇すらなかった


「俺はこの三ヶ月誰よりもお前からの連絡を待ってた。
今まであんだけ良い友達やってきて、ちょっと喧嘩したらもう終わり?」


呆然として俺を見るさな


「俺はさぁ、やっぱり何か楽しいことあったら1番にさなに報告したいし、ゆいと何かあった時だって1番にお前に相談したかった。

でもあの日さなにガツンと言われて、俺さなのこと全然分かってなかったんだ、って思ったら結構ショックで…

自分から連絡する勇気もなかった。

だからここで言うけど!!

俺にはさなが必要だよ。

前にも言ったけどお前とは一生友達でいたい。

俺はさなのこと支えたいし、さなも俺のこと支えてほしい。

何か告ってるみたいだけど…(笑)

まぁさ、それが親友ってもんだろ?」






俺の精一杯の正直な気持ちだった


親友という言葉をあえて使ったのは俺なりのけじめ


ゆいに対する気持ち


そしてさなに対するけじめでもあった




「翔…ごめんね
あたし翔にひどいこと、たくさん言ったのに」




この言葉を聞いた時


俺がどれだけ安心したか君には分かる?


それから俺たちは手をつないで二人のもとへと戻った


さなの手はやっぱり温かくて


この三ヶ月間の胸のしこりをすっきり落としてくれた







“俺にはさなが必要だ”


この言葉の責任の強さなんて分からずに


ただ自分の気持ちに正直に生きたこの日



俺はいつだって


自分本位だよ


さなの言った通り


俺は君の事何にも分かってなかった


ただただ君を想って


君を苦しめ続けた


何が正解かも分からずに走り続けた日


俺はなんて浅はかだったんだろう


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